拙速(せっそく)という言葉をよく見かける今日このごろ。
新聞を読んでいると、
「このような重要な案件を決めるのに拙速すぎる、と語った。」
等と、よく書かれております。
集団的自衛権とかカジノ法案とか、築地市場の移転とか、大規模な保育園の建設とか、十分に話し合いも進んでいないのに、とっとと始めてしまったら、途中で問題が出たり、頓挫してしまう恐れがある! と指摘している言葉ですね。
拙速と言っても、数年に渡って審議されたものもあったりしますが、世の中には、何年も何十年も話し合いが続けられているのに、サッパリ進展しないというものもあります。
ですので、1年や数年の話し合いで物事が決まってしまうというのは、早すぎるのかもしれません。
が、天皇陛下の生前退位をどうしようかなんて問題を、のんびり何十年も話し合ってたら、間に合わなくなります。
大災害や大事故、大紛争などのさいも、ゆっくりしている時間はないですが、そういう場面では、判断が遅すぎると責められるものです。
「拙速すぎる」と語られるのは、力ない利害関係者が、力ある利害関係者を責めるときの言葉、なかなか決まらない物事というのは、賛成派と反対派の力関係が拮抗しているケース、つまりは欲と欲のせめぎあい、そうでなければ、誰もが責任回避したい物事なんじゃなかろうかと、思ってしまうのでありました。
新聞に出てくる「拙速」は、そういった政治がらみの話が多いですが、経営やビジネスの場面では、「拙速は巧遅に勝る」とよく言われます。
アイデアを世の中に出すのに、じっくり練っている時間があったら、さっさと形にして世に出してしまえ、後から改良すれば良い、という意味です。
ビジネスはスピード勝負なんで、アイデアがパクられたら、先行者利益をもっていかれます。
世に出してみないと、改善点がわからないということもあります。ブラッシュアップは世間に広まってから。
パソコンのOSとか、デジカメとかは、まさにそんな感じですね。
しかし、ユーザーの手に渡ってからアップデートできない商品、自動車とか、電気ストーブとか、子供のおもちゃとか、世に出す時点で100%の技術とアイデアを練り込んでいてもらわないと、怖ろしいです。
自動運転のクルマは、拙速は、ぜひやめてほしいと思います。
万全を期して発売されたとしても、私は2代目モデルの最終品くらいになってからでないと手を出さないつもりです。
コワイもんね。
さて、我々アフィリエイターの場合はどうでしょう。
まさに拙速の世界で、とにかく数で勝負、サイトを作らないことには上達もしない、じゃんじゃん作ってバラ撒こう! という作戦がよく取られておりました。
しかし、そういうサイトは、キーワードだけで検索に引っかかるのは、最初だけで、中身がスカスカだと、やがてアクセスが消えていきます。
私が作るサイトも、そんなかんじですが、頭を捻って一生懸命書いたものは、わりといつまでもアクセスが残っております。
アフィリエイトサイトの場合、後からでも改善できる面は有利ではありますが、ウェブにアップした時点で、その時の100%の力が込められている、というのが理想的じゃなかろうかと思います。
トヨタのスピーディーな改善は有名ですが、最初は7割の力で様子を見ているというわけではなく、100%を100%以上に改善していっておるのです。(たぶん)
最近の悪い例は、DeNAのウェルクですね。
手抜きの、あやふやな情報、どっちかといえば社会の害になる記事を大量生産して、世論の怒りを買い、とうとう閉鎖に追い込まれました。
あれは、世の中に最高のものを提供しようという意識がゼロだったですね。
商売は、売り手よし、買い手よし、世間よしの三方良しです。(近江商人の心得)
これは、アフィリエイターにも必要な意識ではなかろうかと思います。
ところで、「拙速は巧遅に勝る」という言葉は、物事を完璧に用意してからでないと
実行に移さないというような心構えでは、何も成し遂げられないよ、準備不足でも、始めてしまう方がいいのだ、という意味に捉えられています。
世間一般では。
しかし出典元と言われる「孫氏」では、そういう意味で使われたのではないようです。
孫氏の原文:
兵聞拙速、未賭巧之久也
漢文読み:
兵は拙速なるを聞くも、未だ巧久なるを賭ざるなり。
意味:
(戦争をやったら犠牲が大きいので)早く切り上げる戦争は聞くが、うまくやって長引かせられる戦争というのは見たことがない。
全然、意味が違っております。
以上を踏まえまして、早かろう悪かろうでもなく、考え過ぎで動かないでもなく、最高のものを素早く提供し、そして、ダメなものも素早くやめる、そういうことを心がけるべきであろうと、考えたのでありました。
■ 追記
コンテンツを一生懸命書いておれば、わりと稼ぎにつながりやすいのがアドセンスです。
アドセンスサイトを拙速でやったら、アカウント削除の刑です。
優れたコンテンツに、アクセスアップのテクニックが加われば最強でありましょう。